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				「お茶のすすめ ~お気楽「茶道」ガイド~」 画と文:川口澄子  WAVE出版 
					
						
							
							長年お茶をやっている友人の誘いで千鳥ヶ淵の戦没者墓苑での奉仕茶会に何人かで行ったことがある。私たちのような
							不心得な者でも参加が可能だと聞いていた。 立礼式の席に座って、まずはお菓子をいただくということで、私たちは懐紙を出して前に置いた。
							それを見た亭主側のーーまあお偉い先生なんでしょうーー老婦人が「残念でした。お懐紙の向きが反対なのよ」と鼻で笑った(そう見えたのはド素人の僻みかもしれないが)のだ。
							ただでさえ慣れない席で居心地の悪い思いをしていた私は、いっぺんで「茶道」ってやつが苦手になってしまった。トラウマですな。
  
							そんな私がこの「お茶のすすめ」を手に取って見たのは、表紙できものを着たおかっぱちゃんがお茶碗を手に「プハー」っとやっているのに、親近感を抱いたからかもしれない。
							それに「プハー」っとやっているおかっぱちゃんの顔がなんとも幸せそうなのだ。 
							それもそのはず、著者の川口澄子さんのお茶との出会いは、私のとは比べ物にならないぐらい幸せなものだったようだ。彼女の師匠のような
							すばらしい先生に出会っていたら、そして私がもっと素直な性格だったら、私だってお茶を習っていたかもしれない。
  
							この本は、イラストと写真と平易な文章で、正式なお茶席からカジュアルな“抹茶のイエ飲み”までを紹介してくれる。読んでいるうちに
							「ああ、邪道でもいいから、うちで点てて飲んでみようかな」、そんな気分になってくる。
  
							“川口澄子のお茶七則”の六に「立場をわきまえ、相手が心地よくなるような思いやりを忘れずに」とある。それが茶道の心なら
							奉仕茶会での老婦人の態度は、もてなす側としてお茶の道を外れていたことになる。あの方のことも、反面教師として忘れないようにしよう。
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