色の歴史手帖【日本の伝統色十二カ月】
吉岡幸雄  PHP研究所

着物が好きになると、付随して、いろいろなことに興味を持つようになります。
その一つが色。
日本の伝統色には、本当に様々な名前があります。

路考茶(ろこうちゃ)
利休鼠(りきゅうねずみ)
朱鷺色(ときいろ)
猩猩緋(しょうじょうひ)
二藍(ふたあい)

これらの色をすぐに思い浮かべることができますか?
ましてや、何で染めているのか?
そんな疑問にやさしく教えてくれるのが、この本です。
十二か月に分けて構成された文章を楽しく読み進めていくうちに
染色の歴史や奥の深さを自然と理解していけます。

青は藍より出でて、藍より青し
この諺が、今から2300年も前の中国の書物に書かれていたものであるとか、
今も着物の袖口や八掛の裾にあるふき(*)は、
平安時代の襲(かさね)の色目に使われていたとか。

シルクロードの話から暴れん坊将軍徳川吉宗まで
その話の面白さ、広さはスゴイとしか言えません。

そして本書にある日本の伝統色百色と襲の色目は
吉岡さん自身が、天然の染料と顔料を用いて
日本の伝統的な技法で染めたものです。

着物に興味が無くても、染色に興味が無くても
単に読み物としても面白い本だと思います。

* ふき
和裁で、袷・綿入れの袖口や裾の裏地を表よりいくらか出して、
表の縁から少しのぞくように仕立てた部分。

05