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布の記憶 江戸から昭和―受け継がれる用美 森田 直 青幻舎
ページをめくると、繊細な美しさとともに、
それを使っていた人たちの生活が伝わってくるような古布や古い着物類。
じっくり見ていくとなんともいえず愛おしくなってきます。
貴重な布を、手マメな女性たちが大切に繕っていく情景が目に浮かぶのです。
青山の地に40年、店をかまえるという骨董店「古民芸もりた」。
その主である森田直が丹念に集めた古い布や布製品を一冊にまとめたのが この「布の記憶」です。
ダメージジーンズもビックリのボロ絹 藍染めパッチワークの繿褸(らんる)から、
補強のためにこれでもかという細かな目の刺子の足袋、 裂地の柄を巧みに繋いだ赤ん坊の腹掛けなど。
つましい暮らしのやりくりを感じさせる布が、
品格ある小紋の袴、歌舞伎の勇壮な場面をモチーフにした火消し袢天などと
ともに並んでいます。
まさに、手をかけることで暮らしになじませていった
「記憶が織り込まれた愛しい布たち」の本です。
モト
この本の最初に出てくる佐賀の民俗芸能「浮立(ふりゅう)」の衣装。
柄は違いますが、先日、日本民藝館でも目にしました。
筒描きで大きく文様を染め抜いた藍の衣装を着て踊る男たちは
きっと、女たちの目も心も奪ったのではないか、などと想像してしまいます。
ちなみに「浮立」とは、祭りの行列の最も華やかな部分が
独立して踊られるようになったものだそうです。
やた
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07
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