別冊太陽 骨董をたのしむ-38 昔きものと遊ぶ
平凡社

女優さんで好きな人はあまりいませんが
樹木希林さんは不思議さがたまらなくおもしろい。
座右の銘は「行き当たりばったり」。人生出たとこ勝負。
と言ってしまうところもすごい。
そして、それを実行している生き方もすごい。
小さく小さく生きている自分とはメダカとクジラのような差があります。
あこがれと言ってもいいかもしれません。

この本には巻頭特集に「樹木流きものの遣り繰り」があり
表紙も明治神宮での娘の也哉子(ややこ)さん
孫の雅楽(うた)君と伽羅(きゃら)ちゃんとご一緒の写真です。

大人のきものがアンティークなのは、よくありますが
それを自然に自分らしく着ている方はあまり見かけません。
ところが、樹木さんご一家は素敵でなんです。
ましてや子供の着物で雅楽君は黒の長羽織、
伽羅ちゃんは黒の留袖を仕立て直して、着物と帯にしています。

わー、かわいい。とつい声に出してしまいました。
この本は第2刷で、2003年発行ですから、
そのころはすでにきもの好きになっていた私。
伊勢佐木町の有隣堂で見つけ、すぐさま購入しました。
まだ生まれる予定もない孫のために探して求めた中古の留袖は
在庫として今も箪笥に眠っています。



この号の大部分を占める「田中 翼コレクション大特集」がすごい。
襦袢や羽裏はこれ見よがしに人に見せるものではないが
ふとした折に、ちらと見えてしまう。
一見地味な男のきもの姿。しかし、その内側に潜むのは
「百鬼夜行」だったり、大きな大きな「飛行船」だったり。
あるいは可愛らしい「カチカチ山」や「金太郎」だったとしたら。
昔の女性は、そんな男に惚れてしまったのでしょうね。
「機関車」「雑誌」「動物」「宝塚」「テニス」……
とにかく、ありとあらゆる題材が襦袢や羽裏に表現されて
これでもかと迫ってくる。
こんなものを集め始めてしまった田中 翼(よく)さんって
どんな人なんでしょうね。

やた



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