横浜人形の家「ひな人形展」と小さな物

雛祭りまではまだ1か月ありますが、横浜人形の家の「ひな人形展」を見に行って来ました。

江戸時代から昭和までの雛飾りは、顔も衣裳も様々。
関東ではあまり見ない御殿づくりが多く、お芝居の舞台のよう。
なかには贅沢な檜皮葺の屋根が付いたものまでありました。
御殿の一番奥にお内裏様が鎮座しているので、お顔が見えないものがあって、そこはちょっと残念。

面白かったのは、三人仕丁。鍋を火にかけ、巻きずしの並んだお皿を囲んで酒盛りをしているのです。
どうやらこれも関西のお雛様の特徴のようです。
私が知っているのは、傘とか殿様の履物を持っている姿でしたから、
いったいあの大笑いして飲み食いしている男たちは何?とびっくりしました。

それにしても私は人形そのものより周りのお道具のほうに、どうしても目が行ってしまいます。

小さな箪笥や化粧道具、お膳にお椀などなど、その細工の見事さにため息が出ます。
漆に蒔絵の文様は、お決まりのように「牡丹唐草」ですが、なぜなんでしょう。
調べてみましたが、これといった答えは見つかりませんでした。
ただ、江戸時代にこういった細工物を得意とする七澤屋という工房が上野池之端にあって
七澤屋で雛飾りのお道具を揃えると、一軒所帯を持つぐらいのお金がかかったそうです。
その七澤屋の特徴の一つが、大の字牡丹と呼ばれる牡丹唐草だったと言います。
上のパンフレットのお道具は、大の字牡丹のようです。

小さなお道具を見ているうちに、私の家にある何の役にも立たない小さな物たちのことを思い出しました。
家に帰って早速、ほこりをかぶったそれらを出して、何年かに一度の洗い物をしました。
乾燥させる間、たまにきれいになったのだからと写真を撮ってみました。
どのくらい小さいかといえば、一番手前の赤いカップには綿棒の頭がやっと入るくらいです。
左奥のひなびたコーヒーセットはフランス、ブルーと白のセットはオランダ、右奥は香港で買ったもの。
香港の工夫茶セットにはお湯を沸かす七輪のようなものまでついています。

赤い琺瑯のティーセットは確かイギリスで買ったもので、ポットの蓋がちゃんと開きます。
木でできた日本茶セットは日本のどこで買ったのか思い出せません。

そして、ペットボトル入りのお茶のおまけ、海洋堂制作の飲茶セット。
これ、たまらなく好きです。
プラスチックの長い箸が入った箸袋の折り返しまで再現しています。

久しぶりに「小さいもの好き」の血が騒いできました。
小さい物の中でも、なぜか私はお茶のセットに惹かれます。
何の役にも立たないのは分かっているのに、欲しくなるのは昔の人も同じだったのでしょうね。

文・写真/八谷浩美

01 February 2013