三溪園の花菖蒲
梅雨の花と言えば紫陽花ですが、この季節は花菖蒲もきれいです。
以前は明治神宮内苑の花菖蒲を見に行ったものですが、
三溪園の菖蒲田が整備されてからは、遠くまで行って傘の行列の合間から花を見る必要がなくなりました。
しとしと雨の中、三溪園を訪れました。
雨の季節の花は、雨の中で見てこそ美しい。
静かな園内には、写真を撮る人、スケッチをする人たちがそれぞれに花に向かっています。
雨に濡れた花弁がなんともあでやかです。
この花を見るためなら、多少の雨もなんのそのという気になります。
まっすぐ伸びた茎の先に咲く花菖蒲は
どんよりとした空、しとしと降る雨の日を美しい日に変える力があるようです。
花菖蒲以外にも、梅雨時は一年のうちでも緑が一番きれいだと思います。
ドクダミの真っ白な花が若々しい緑の中に可憐に咲いていました。
薬草としても有名なドクダミですが、てんぷらにしてもおいしいらしいです。
臨春閣の前の池では、鯉と雨の水輪がコラボ。
まるでゆかたの柄のようでした。
浮世絵ファンだったゴッホが喜びそうな梅の木も見つけました。
美しい花菖蒲を、うっとうしい梅雨時に咲く花に決めたのは、いったい誰なのでしょうね。
それにしても、花のない時期の世話をしてくれている人たちのご苦労には感謝です。
この季節に着たい菖蒲と八つ橋の小紋があります。
でも雨の季節ですから、なかなか着るチャンスに恵まれないのが惜しい。
文・写真/八谷浩美
12 June 2012
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