晩秋の三溪園

「季節を愛でる」といえば三溪園。
古建築公開が12月9日までなのを思い出したのと、仕事にある程度めどがついたこともあって出かけてみました。

池には冬の渡り鳥キンクロハジロが今年もやって来ていました。
青いくちばしに金色の目、パンクな髪形が、なんか悪役っぽいんですよね。

キンクロ

まずは横笛庵方面へ。
陽射しを浴びたもみじは、透明感のある赤がきれいです。

もみじ1

横笛庵の裏手。土壁と紅葉。
紅葉は逆光から見るときれいなんです。順光側から見るとこんなにきれいには見えない。

もみじ2

内苑に向かい、公開されている臨春閣へ。
ふだんなかなか入れない建物ですから、狭い廊下では渋滞が起こるほどの盛況ぶり。
向こう側の廊下に人がいない一瞬を待って撮った一枚ですが、池の向こうの橋までは念力が届きませんでした。
しかし、こんな風景を造って、こんな部屋から見ていた三溪さん、贅沢です。

臨春閣1

臨春閣は欄間も凝っています。
こちらは和歌が書かれた色紙を嵌め込み、菊の花と葉の彫刻でつないだもの。
「暴れん坊将軍」吉宗は、こんな素敵な家で育ったのでしょうか。

臨春閣2

臨春閣を後にして聴秋閣へ向かう足元に咲いていたアザミ。

アザミ

聴秋閣は、三溪園の中でも一番好きな建物です。
端正で小ぢんまりとした佇まいが、絶対に女性好みだと思うのです。

聴秋閣1

内部がまた素敵。葵のふすまは金彩が施してあるように見えます。
今は重要文化財ですから中には入れませんが、子供のころ2階に上った記憶があります。
階段を上り下りしたような…、おぼろげな記憶ですが。

聴秋閣2

この可愛い建物を春日局にプレゼントした家光は、女心が分かっていたのですね。

鶴翔閣の入り口では、大勢の職人さんが松の手入れをしていました。
お正月を迎える準備ですね。
写っているだけで11人もいます。わかりますか?

松

帰り際に見つけたさざんか。冬はもうそこです。

ume

文・写真/八谷浩美

07 December 2012

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