ある時、目についた不思議な小紋のきもの。
最初は、黒の小紋っていいなあと遠目に見ていたのだけど、
近づいてみて「なんじゃ、こりゃ!」
いったい何の文様なのか、さっぱり分からない。
何かみたいなのだが、何だか分からない。
推察できることは、
どこか外国の人が江戸小紋みたいな文様をデザインしてみたのでは?ということ。
今どき、外国でのきものの仕立ては、ほぼ常識(?)。
反物が作られることさえ、ままある。韓国産の大島紬とか……。
その伝で言えば、外国産の江戸小紋(!)という物も、どこかに存在するのかもしれない。
しかし、だったらプリントするにしても、もっとちゃんとコピーするんじゃないの?
ここまで緩いと、もうその努力が可愛らしく思えてくる。
そこで、一つひとつの柄を見てみることに。
これらは、もしかしたら菖蒲文様を見て作ったのかもしれない。
錐彫り風。丸三つは松文様の部分? 真ん中は、七曜なのか八曜の中抜き? 右はとりあえずなのか、何かなのか。。
幸菱にひとつ足りない。あとは心がけ次第か? 中央は市松の欠片。
右側は、ホントに何かっぽい。その何かが分からない。全然違うかもしれないけど、分銅を思い浮かべた。
これらは、琉球絣で言うトゥイグヮーを見たのではないかと……。
エ霞かな? そこからπ(パイ)になって……。右側は、易でいう艮(ごん)に見えるけど、そうなのだろうか?
たぶん源氏香を写したつもりなのだろう。右のなんて、何かの生き物のようになっている。
御絵図帳にあるカンカキー(鍵掛)とミジグヮー(水)を見たのではないかと想像する。
抽象柄を伝言ゲームのように変形させていくと、こんなふうになってしまうのかも。
そして、これなんて「日本といえばゴジラでしょ」とか?
それとも、私が物を知らないだけで、本当はそれなりの文様だったりする可能性だってある。
だから、文様といえば熊谷博人さん!と、熊谷さんに見ていただいたこともあるのだけど、
「全然分からないというか、何でもないんじゃないの?」だったしね。
試しに袖だけ解いてみたら、なんと手縫いでした。
誰かが和裁の練習に縫ったのかもしれない。きれいにしつけもしてあった。
しかし、日本人としては、このきものを着て外を歩くなんて、到底できない。
で、リサイクルに回る運命に……。
出合ってしまったからには、どうにか生かしてあげたいと情が湧く。
小物の裏地になら使えるかもしれないと最近はまっている数寄屋袋作りに応用してみた。
どうでしょう?
09 April 2018 文・写真/八谷浩美
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