桜を求めて そぞろ歩き
今が盛りの桜。横浜でも、あちこちで満開を迎えています。
そのなかのいくつかをご紹介しましょう。
まずは、西区の掃部山公園。みなとみらいをバックにした桜が見られます。
「かもんやま」と読みます。
幕末を描いたドラマでは悪役の井伊掃部守ですが、横浜では開港の恩人です。
この公園は、港を眺める井伊直弼の像が立てられているため掃部山公園と名づけられました。
そして、元町の増徳院元町薬師堂の裏、川沿いに咲くヨコハマヒザクラです。
みなとみらい線の元町中華街駅、元町口から元町に向かい、交番の右に行くとあります。
山手に登りましょう(きものなら、駅からアメリカ山公園に上るエスカレーターが便利です)。
外人墓地から元町公園を見下ろすと、緑の中に点在する桜がきれいです。
山手の桜は高低差を楽しみたいですね。
ちょっと歩いて港の見える丘公園。
ローズガーデンから沈床庭園に降りるところにも桜があります。
港の見える丘公園の奥、神奈川県立近代文学館前の「芸亭(うんてい)の桜」。
芸亭とは、奈良後期の平城京に設けられたという最古の図書館の名前だそうです。
初代館長・中野孝次氏が、文学者が集うこの館の前に植えられた木に、その名をつけたそうです。
私たちの住む新山下から千鳥坂という段々を息を切らしながら上って行くと、まず最初に出迎えてくれるのが、この桜。
さて、ちょっと足を延ばして本牧山頂公園です。
この観山広場にはソメイヨシノとヨコハマヒザクラが植えられています。
まだ米軍に接収されていたころ、この広場のあたりに米軍将校の家があり、
毎年クリスマスが近づくと大きなクリスマスツリーが飾られ、下の道路から見上げていた記憶があります。
この場所が観山広場と名づけられたのは、昔、原 三溪の招きで
日本画家・下村観山がここにアトリエ兼居宅を構えたことからだそうです。
そんな有名人が住んでいた場所だとは、この公園ができるまで知りませんでした。
いかがでしたか? 春の横浜、そぞろ歩き。
江戸の人たちも春になると、桜に誘われて連れだって出かけました。
お花見は江戸時代も、貴賤を問わず、みんなが楽しみにしていたレジャーだったようです。
そんな時には、こんなふうにきものをぐいっと引上げ、帯にきゅっと挟んで
お洒落な日傘をさして、お出かけしたのでしょうね。
よく浮世絵で見るのは、扱き帯(しごきおび)で、きものを端折った姿ですが、
わざわざ帯のほかに扱きまで結ぶより、このほうがずっと楽ちんですね。
こんなアバウトな着方を見ると、現代のきものが窮屈に思えてきます。
それにしても、坊やの浮かれっぷりが微笑ましい。
文・写真/八谷浩美
30 March 2015
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