たま~に骨董市に行ってみたりする。
たまにしか行かないので、眼を養うまでには至らず、いつまでたっても素人のまま。
布好き、織物好きな私の興味は、どうしても麻や木綿、あるいは芭蕉布などの古布に傾く。
資金的な問題もあり、大きな布やきものの形になったものには縁がないが、
小さな裂地なら私にも手が届くものもある。
しかし、そう思って手を出すと、時に万の値段がついていることもあり「失礼しました」と手を引っ込める。
比較的、自宅から行きやすいこともあり
毎年、ゴールデンウィークには平和島骨董祭りに出かけている。
今年の収穫はリサイクルの大島紬(これは雨ゴートに仕立て直そうかと)と小さな松葉の形をした象牙の楊枝、
そしてそして苧麻?の絣と芭蕉布、麻それぞれの裂。
沖縄の風を運ぶような2枚
白地に焦げ茶の絣は、お店の人によれば、彼女の妹さんが織ったもので
「これ、苧麻よ。知ってるでしょ? 葉っぱのほうは捕まっちゃう、あれ」
苧麻なのか大麻なのか、どっちなの?と突っ込んでもみたが、「だから苧麻よ!」と自信満々。
白地の気持ち良さに、まっいいかと購入を決定。
白地に沖縄の典型的な絣文様がくっきりと。 左が経糸、右が緯糸
左の写真にある緯糸からの推測では、絣文様はどうやら擦り込みのよう。
経糸が紡績、緯糸が手績みかな?
お姑さんのためにお嫁さんが織った、家庭内用の布というのが好ましい。
こちらは、芭蕉に木綿の格子。
綿糸で入れられた黒い格子がきっぱりとして、鮮やかだ。
経糸緯糸とも綿糸の真っ黒の部分の柔らかさと、経糸緯糸とも芭蕉の部分の硬さ。
代わるがわる触ってみては、にやにやしてしまう。
それほど古いものではなさそうだけど、
いつか見た1935年の那覇の市場の写真を思い出す。
そして、麻の古裂。甕覗とは、こういう色をいうのかな。
洗ってみたら、なんとも明るく軽く、風になびく。
男物の夏の紋付だったようだ。
こういう古布に繕いの跡などあると「やった!」と嬉しくなる。
それは、この布がきものだったころに大事に着ていた人がいる証だと思うから。
「丸に片喰紋」だろうか。
ひとつ疑問がある。紋の中の地の部分は藍で埋めないのか。
それとも、これは下書きなのか。
よく分かっていない自分が恥ずかしいし、もどかしい。どなたか教えて。
古裂と言えば仰々しいけど、ほんの少し昔の人たちが、その暮らしの中で大切にしていた布たち。
手触りや色み、糸の風合いを愛で、少し昔の人の生活に思いを馳せる。
それが私の素人的古裂の愉しみ。
清々しい水色を首に巻いてみたら、顔が明るくなった気がした。
11 May 2019 文・写真/八谷浩美
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