銀杏
銀杏は古くから神社や寺の境内、校庭や並木道など身近なところに植えられ、年輪を重ねた大木ばかりです。
なかには数百年を超え、様々な伝説をもった老木も少なくありません。
銀杏は生命力が大変強いといわれます。鎌倉の鶴岡八幡宮の銀杏は残念ながら倒れてしまいましたが、
残った根元から多くの新しい芽が出たというニュース写真は記憶に新しいところです。
芽吹きの緑は鮮やかに、秋の黄金色の輝きは青空を背景にして命を謳歌しているように感じさせます。
そして実(ギンナン)がたくさん付くことから、銀杏文様には子孫繁栄を託します。
ギンナンは体を温め、おねしょの薬と聞いたこともあります。
金色(こんじき)のちひさき鳥のかたちして銀杏(いてふ)ちるなり夕日の丘に
銀杏と聞くと思い出すのが『みだれ髪』の与謝野晶子の短歌でしょう。
夕陽に照らされる丘の上の銀杏の大木。
その一枚一枚の葉が照り輝き、秋の風にハラハラと散る姿は、まるで金色の小鳥がいっせいに乱舞しているようです。
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図1 銀杏 | 図2 銀杏 |
図1は銀杏の輪郭線を極端に変形しているので、一見銀杏には見えませんが、
銀杏の葉が地上に落ちた光景によく似ています。文様の中の空きをなくして、重なるように銀杏の葉をちりばめています。
図2は銀杏の葉が舞い散る様子ですが、与謝野晶子の歌とイメージが重なります。秋の風情を表す代表的な文様でしょう。
銀杏
銀杏の葉を骨太にし、さらに雪輪型に表現し、天地交互に並べた大胆な文様です。
違い銀杏
上図と同じアイデアですが、こちらはさらに、遊び心が見られます。
家紋の「入違い銀杏」になっている文様ですが、
このように日本独特の「家紋」を参考にして、変化を付けた文様も江戸から明治時代には数多く作られました。
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A. 三つ葉銀杏 | B. 三つ葉銀杏(古渡り更紗) |
A. 丸の中に銀杏の葉を3枚入れた連続文様です。
江戸時代中期から後期にかけて、インドから日本に輸入された「古渡り更紗」に見られる人気の図柄です。
B. 江戸時代にはすでに日本人好みの文様の更紗を、インドに発注していました。
この図には18世紀にインドで染められた手描き更紗で、茶人に好まれた文様でした。
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C. 組銀杏 | D. 四つ銀杏 |
C. 銀杏の葉を天地左右に連続させた文様です。
このような幾何学的な文様は季節を問わず、パターンのおもしろさを愉しみます。
D. 銀杏の葉を天地左右に四枚組にし、連続させた文様です。
銀杏の葉はシンプルなので、様々なパターンの組み合わせが考えられました。
吹き寄せ
銀杏は秋の風情を表すアイテムには最適ですが、
楓や芒などを加えて秋の風情をより強調した文様にしています。
28 November 2012
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