十二支
私の年の瀬の行事は年賀状書きです。できる限り手書きにしようとがんばっていますが、3日以上かかってしまいます。
でも書くことが好きですし、受け取る方も楽しみにしてくださるので、なんとか続けています。
以前はいただく年賀状は、その年の干支(えと)を描いたものが多かったのですが、最近は家族写真や近況報告が増えました。
現代の生活から消えつつある「干支」にはどんな意味があるのか。「干支文様」はどんな文様でしょうか。
干支の知識は中国から発生しました。「干支(えと・かんし)」とは、「十干十二支(じっかんじゅうにし)」の略です。
十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と
十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を組み合わせたもので、
10と12の最小公倍数60を周期とする数詞。
暦(年・月・日)や時間、方位、物事の順序などを示し、生活の指針のために考えられ、常時用いられたものです。
陰陽五行説とも結びつけて卜占にも応用されています。
起源は中国の殷代(紀元前15世紀~紀元前11世紀)に発生したといわれます。
殷墟から発掘された甲骨文字に十二支の文字が残っています。
以降、アジアの漢字文化圏である韓国、日本など各地に伝わりました。
では,なぜ「子」が鼠であり、「丑」が牛になったのか、これには諸説あるようですが、その中のひとつ。
お釈迦様のもとに新年の挨拶に来た順番にしたという話があります。
牛は足が遅いので早めに行ったが、牛の背中に乗っていた鼠が一番乗り、2番が牛、そして虎、兎といった順になり、
仲の悪い猿と犬の間には仲裁に入った鶏が入ったということですが、確かな答えはなさそうです。
猫が入っていないのは、鼠にだまされて次の日になったからとか。
お釈迦様の「涅槃図」には十二支の動物が描かれていますが、猫はいません。
このような話ができたのは江戸時代でしょう。
きっと、文字の読めない人たちにも理解しやすくし、広く普及させるためにこのような形を考え出したのでしょう。
仏教においても十二支は多く登場します。薬師如来を守護するのが十二神将。
それぞれの頭に十二支の獣が割り振られ、四方から来る敵に備えています。十二支は仏教との関係も強かったようです。
文化2(1805)年に刊行された『萬歳古状揃千秋蔵』に掲載された十干十二支。 なぜか北が斜め下になっています。
この図をよく見ると、甘、辛、酸などの味覚までも書き込まれています。
十二支文様
この図は寛文6(1666)年『新撰御ひながた』に掲載された小袖文様ですが、
喜田川守貞『守貞謾稿』にも同種の図版があり、
江戸時代には十二支の文字入り丸文尽くしの衣装が、女性の間で流行ったことが書かれています。
干支
干支の十二支を文字で文様にした江戸小紋。
縁起の良い言葉などを集めた「文字文様」もこの時代の人気の文様でした。
干支 (大正更紗)
大正時代の間着に使われた更紗文様です。こちらも簡略化された十二支が染められています。
動物の形を上手に意匠化しています。
人々は生まれた年の干支によって、性格や、気質を判断したり、方位を示すのに十二支を用いていました。
最近も、テレビや女性誌での「十二支占い」が流行っているようですが、
「干支」がいつまでも存続してほしいものです。
小生は来年の誕生日で干支を6周することになりました。
25 December 2013
*このページに掲載されたコンテンツは熊谷博人に帰属します
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